不動産の共有を回避したい
【状況】
【自宅で一人暮らしのXさん(75歳)は、自宅不動産のほか、新築のアパートを1棟所有しています。
3人の息子たち(長男A・次男B・三男C)はそれぞれ独立し、皆遠方に住んでいます。
将来自分が亡くなったら、財産は3人の息子たちに平等に相続させたいと考えていますが、不動産を3人共有で相続させると、将来アパートの修繕や建替え、売却等をする際に、3人の間で意見がくい違ってもめたりしてしまうのではないか、と心配です。
かと言って、不動産以外にはめぼしい資産があるわけではないので、不動産を誰か1人に相続させて、他の2人にはそれ相当のお金を相続させる、という訳にもいきません。
【家族信託の設計】
父Xさんから、長男Aさんに、不動産(自宅・アパート)を信託します。
父Xさん(最初の受益者)が亡くなったら、3人の息子たち(長男A・次男B・三男C)が第二次受益者となります(受益権割合は各3分の1ずつ)。
次のような事由により共有化解消のメドが立ったら、信託を合意解除します。
- 不動産を売却して現金化できた。
- 長男Aが、次男Bと三男Cから少しずつ受益権を買い取っていき、最終的に全部の受益権を取得した。など
【家族信託を行うメリット】
名義と管理が長男に移転するので、父Xさんの認知症対策にもなります。
父Xさんが亡くなった後は、賃料収入等は長男A・次男B・三男Cの3人で均等に分けることになりますが、不動産の管理や修繕・建替え・売却処分等は長男Aさんが受託者として単独で権限を行使できるので、方針をめぐって3人の間でもめて不動産が塩漬け状態になるのを防ぐことができます。
不動産を全部売却し終えたら、入ってきた売買代金を3人で分けて、信託は合意終了させます。
または不動産を売却しない場合は、長男Aさんは他の2人から少しずつ受益権を買い取るなどして、長男Aさんが最終的に全部の受益権を取得して単独の受益者になったら、信託を終了させて、長男Aさんが名実ともに不動産の単独の所有者となります。