実家の空き家を管理・処分したい
【状況】
Xさん(82歳女性)は10年前に夫を亡くし、以来自宅で一人暮らしをしてきましたが、最近体が弱ってきたため、老人ホームへ入所することとなりました。
一人娘の長女Aさん(55歳)は、遠方に嫁いでおり、今後実家に戻ることはないため、空き家となってしまう実家の土地建物を、いずれ頃合いを見て売却処分したい、と考えています。
しかし、母Xさんは最近物忘れが多くなってきたこともあり、この先土地建物を売却する頃には認知症になってしまうのではないか、ということを長女Aさんは心配しています。
【家族信託の設計】
母Xさんから、長女Aさんに、自宅不動産を信託します。
信託監督人として、司法書士Zになってもらいます(信託監督人は置かなくてもよいです)。
母Xさんが亡くなったら信託は終了し、残った財産(自宅売却後は金銭に変わっています)は長女Aさんのものになります。
【家族信託を行うメリット】
母Xさんがたとえ認知症になっても、長女Aさんの権限で売却をすすめることができます(リフォームして売却、なども可能)。
「売却には信託監督人の同意を要する」と信託契約に定めておけば、売買契約締結の際にも、司法書士Zの同席・助言が得られ、長女Aにとっては心強いです。
売却して入ってきたお金は引き続き長女Aさんが受託者として管理しますが、成年後見の場合と違い、長女Aさんが自分で管理・運用することができます(第三者後見人に払う報酬もかかりませんし、裁判所への報告も不要)。
売却決済の直前に母Xさんが死亡したとしても、長女Aさんは清算受託者としてそのまま売却をすすめることができます(相続登記不要!!)。