成年後見と家族信託の違い

成年後見も家族信託も、認知症のための財産管理の仕組みということができますが、家族信託は成年後見制度と比べて、より柔軟で、長期にわたる本人の意向実現を可能とする制度といえます。

 

下記では、成年後見と家族信託を比較しています。

 

成年後見

判断能力が低下した後、裁判所に申し立てて成年後見人を選んでもらいます。成年後見人は、本人のため財産管理や身上監護(入院手続き・施設入所手続きなど)を行うなどして、本人を法的に保護するための制度です。

「本人の保護」をするための制度であるため「本人の財産を減らさないこと」が最優先され、相続税対策としての資産の組み換えをしたり、建物の大規模修繕、新たな賃貸不動産の建築などは原則としてできません(相続税が軽くなるというのは相続人にとっての利益であり、本人にとっての利益ではないから)。また、父親が認知症になって成年後見人がついた場合、父親の年金収入が多いからといって父親のお金の中から母親に余計に生活費を渡したりすることも原則としてできません。

また、家族が成年後見人になればランニングコストはかからない、と思っていらっしゃる方がときどきいますが、一定以上の資産(栃木県内の裁判所の取り扱い(令和元年現在)としては、金融資産1,200万円以上)を持っている方の場合、家族が成年後見人にはなれず、弁護士や司法書士等の第三者が裁判所で選ばれる傾向にあります。この場合、専門職後見人に支払う報酬が発生します(本人が亡くなるまで報酬の支払いが続きます)。

(専門職後見人の報酬の目安の例)

 ① 資産3,000万円、報酬月額あたり3万円として10年後に死亡した場合

    3万円 × 12ヶ月 × 10年 = 360万円

 ② 資産8,000万円、報酬月額あたり5万円として8年後に死亡した場合

    5万円 × 12ヶ月 × 8年 = 480万円

 

 

家族信託

成年後見との大きな違いは、本人が元気なうちから家族が財産管理をスタートさせることができ、本人が認知症を発症した後も信託の効力が継続され、家族(受託者)が本人に代わって相続税対策としての資産の組み換えをしたり、建物の大規模修繕、新たな賃貸不動産の建築、不動産の売却などをすることができます。

家族信託が認知症対策として有効であるのはこのためです。

家族信託は、「本人の財産を減らさないこと」ではなく、「本人が願った信託の目的達成」が最優先されます。

また、裁判所への届け出の手間や不自由さがないことも、成年後見と比較した場合の特徴です。

最初に信託を組む段では専門家のコンサルティング報酬や公証役場費用、登記費用(登録免許税)などがかかりますが、いったんスタートさせてしまえば、ほとんどランニングコストがかからず家族だけで財産管理を続けることが可能です。

 

 

 

成年後見

家族信託

認知症発生後の相続対策

継続不可

継続可能

財産管理者

裁判所が決定

※近年は、財産額によって、第三者(司法書士、弁護士など)が選ばれる場合が多い

家族(本人と契約)

財産管理内容の届出

定期的に必要

不要

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